ロボット「機械翻訳」に有効

拙著『英語の時制の研究』の未来は機械翻訳やロボットの言語(人工知能)にも役立つのではないかと推察される。

「言語資源の共有と再利用」シンポジウム

http://www.etl.go.jp/etl/nl/sympo99/index.html

によれば、

「自然言語のデータとそれを扱うための技術を共有化しさまざまに再利用することの重要性が、研究と実用の両面にわたって高まりつつあります。」

とその技術の研究が課題視されているが、拙論は極めて有効な理論ではないだろうか。

蓋し、拙論『英語の時制の研究』は2元時制論であり、動詞の形態は不定形、現在形(環境世界を表す形)、過去形(思考内世界を表す形)であり、これはいわゆる0と1の2進法で分類していくことが可能なわけである。

たとえば

 

■ 動詞

 TENSEなし・・・・・・0  不定形(原形、NONTENSE形)(命令法、不定詞句など)

 TENSEあり・・・・・・1

     └────┬──直説法現在形(環境世界を表す形。BODYの外の世界)・・・・・・0

          │

          └──直説法過去形(思考内世界を表す形。MINDの内の世界)・・・・・1

             ( 過去形の用法> @単純過去 A仮定法といわれているもの )

 

■ 完了相構文(本来はドイツ語と同様 have + O + P.P.だったため、特別なTENSEではない。)

    完了相なし・・・・0

    完了相あり・・・・1

 

■ 助動詞構文(詞と辭の表現)(歴史的に新しい。USよりも英語の故郷UKに発達している。)

※「助動詞は本動詞である。(2008年更新論文)」の1行を付け加えておく。

    助動詞なし・・・・0(詞の表現。定理や原理、定義、前提など。)

    助動詞あり・・・・1

   (辭の表現。気持ちや意思を補足した表現。学校文法でいう未来形はこれに含まれる。)

 

■ 例外:旧仮定法。古い英語の動詞の仮定法活用形のなごりである。仮定法過去のwereと、仮定法現在(原形)など⇒ロングマン応用言語学辞典で『mood』を引くと数例あります。

 

UKとUSとの助動詞構文の発達の差はいわゆる仮定法現在の例を考えればわかりやすい。仮定法現在はUKでは古い英語とされ、助動詞構文を用いた迂言的な表現に発展しているといわれている。動詞の仮定法活用形は史的に消滅化傾向が強い。代替的流行として助動詞構文が発達してきた。ちなみに、この点は日本語と逆である。日本語ではたくさんあった助動詞が消滅してきた。同時に述語の語尾がシンプルになりつつある。『ら』抜き言葉もそのひとつの現象であろう。

拙論では現代英語の動詞の時制や叙法(仮定法)というものは、上に示したものの組み合わせでできあがったものだと考えている。さらに発展させれば、時制の項目を外れれば、たとえばSの有無(1・0)とか、いろいろな項目が追加できよう。また、教壇でよく問題になる『直説法条件節のIfと仮定法条件節のIfとの間の差異』は、実はまったく存在しないことも、上の組み合わせによる説明で明らかになったし、仮定法は消滅したともいわれている。ロングマン応用言語学辞典で『mood』を引くと『英語では、仮定法の形式が使用されることはもはやほとんどない』とある。そして、すべての時制は事実上、直説法現在と直説法過去とに収束するのである。

仮定法の解説t19.PDF 参照のこと。AcrobatReader(日本語版(無料)英語版(無料))が必要です。

 

 

 

ご賛同のメールを頂いている師のご紹介(順不同):

新潟大学工学部情報工学科宮崎研究室内LACE研究会より

佐良木 昌先生(同志社大学大学院、純心短大英米文化科、日本大学経済学部、秋田大学医学部)

『LACE研究会は、学究の徒としての林様のご精進に期待しています。読書、研究三昧の日々をおくられんことを。』

(勝手ながらメールから引用をさせていただきました。ありがとうございます。)

かつて公文教育研究会東京本社事業開発課課長 Sadahiro Sato 氏には学生時代より深くお世話頂きました。

 

 

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