■林の英文法 概略的解説             

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1.過去形の用法には (a)単純過去 と (b)仮定法 とがある。

 

例.仮定法では過去形か過去完了しか使われていない。

(過去完了はHAVEの過去形の目的語に過去分詞がついたにすぎない。)

つまりMINDの中の世界の表現に用いる。回想と仮想。

ちなみに、Ifが仮定法をつくるのではなく

過去形が仮定法をつくるのであり、

学校英文法の説明とは反対に

直説法現在のIfと仮定法(直説法過去)のIfとの間の

差は全く存在しないことになる。

TENSEは時の尺度で分類してはならない。



2.現代の仮定法は直説法過去である。

 

例.仮定法現在(原形)は

アメリカに残存するわずかな古い英語の例(旧仮定法活用)。

イギリスにはもうない。



3.原則:TENSEは時の尺度で分類してはならない。

 

例.

a.未来形はない。

b.現代の仮定法は直説法過去による表現。



4.完了時制を認めない。HAVEのみのTENSEをTENSEとする。

 

例.仮定法では現在完了が使われない。

つまり、過去形か過去完了しか使われていない。

過去完了はHAVEが過去形である。



5.未来時制は認めない。

 

ただの助動詞(主観的)表現。

TENSEは時の尺度で分類してはならない。

例.未来形の助動詞WILLの過去形WOULDについて、

未来の過去って何ですか?って疑問が生まれる。

WILLは現在形。

WOULDは仮定法(直説法過去による旧仮定法活用の代替)。



6.1に対峙して、現在形はBODYの外の世界を表す。環境世界。

 

例.実際は空想や過去でも現在形で表現する手法の

「劇的現在」の用法が臨場感をもたらすのは

このため。現在という時間はあてはまらない。

TENSEは時の尺度で分類してはならない。



7.文には主観表現と客観表現がある。

(助動詞の有無による大雑把な影響)

 

この主観法と客観法という視点で、現代の仮定法(直説法過去と助動詞構文による旧仮定法活用の代替)の内容的説明がつく。歴史的には助動詞構文は最近の流行であり、イギリス英語が進んでいる。アメリカ英語には旧仮定法活用の残存として、仮定法現在や非現実のwereなどの例がある。その他のほとんどが、直説法過去と助動詞構文との組み合わせによる迂言的構造に姿を変えている。ロングマン『応用言語学辞典』で「MOOD」をひくと、仮定法はほぼ消滅したという記述がある。

時枝誠記『日本文法 口語篇』岩波全書,1950.  

澤田治美『視点と主観性―日英語助動詞の分析―』ひつじ書房,1993.

を参照のこと。



8.すべてのTENSEは事実上、直説法現在と直説法過去とに収束する。

 

例.イギリス英語にみられる、

直説法過去と助動詞表現との組み合わせによる

旧仮定法活用の代替。



9.原形(不定詞)はTENSEのない形。

 

大西泰斗・ポールマクベイ共著『いつのまにか身につくイメージ英語革命』1998,講談社を参照のこと。



10.仮定法は直説法過去と助動詞構文の組み合わせ。

 

教室では、仮定法は

「現実なら直説法現在でいえる文の動詞や助動詞を過去形にするだけ」

と説明する。実に簡単である。変な構文は教えないで済む。

※ 時や時制を過去にずらすのではない。それでは仮定法に現在完了が使われない理由が説明できない。

 


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